「IT系の資格にチャレンジしたいけど、ITパスポートと基本情報技術者ってどう違うの?」
そんな疑問を抱えていませんか?
IT業界でキャリアを築きたい人や、これからITの基礎を学びたい初心者にとって、この2つの資格は最初のステップとしてよく比較されます。しかし、試験の難易度・内容・学習時間などには大きな違いがあり、目的に応じて選ぶことが重要です。
この記事では、現役エンジニアである筆者が、ITパスポートと基本情報技術者の違いをわかりやすく解説します。
試験概要や難易度の比較はもちろん、どちらを選ぶべきかの判断基準や、効率的な勉強法まで紹介。この記事を読むことで、自分に合った資格を選び、ムダなくスキルアップを目指すことができます。
ITパスポートと基本情報技術者とは?

ITパスポートと基本情報技術者は、どちらもITの基礎知識を問う国家資格です。これらの資格は、試験の目的や対象とする受験者のレベルには明確な違いがあります。まずはそれぞれの概要を見ていきましょう。
ITパスポートとは?
ITパスポート(通称iパス)は、ITに関する基礎的なリテラシーを問う国家試験です。
経済産業省が認定する「情報処理技術者試験」の一種で、ITに関わるすべてのビジネスパーソンが対象となります。
ITパスポートの概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
試験実施日 | 通年 |
試験方式 | CBT (Computer Based Testing) |
試験時間 | 120分 |
出題数 | 100問 |
出題形式 | 四肢択一 |
試験範囲 | ストラテジ系 マネジメント系 テクノロジ系 |
合格基準 | 総合スコア600点以上(1000点満点中) ※各分野ごとに30%以上の得点も必要 |
受験料 | 7,500円(税込) |
受験申込方法 | ITパスポート公式サイトより申し込み |
合格率 | 50%前後 |
基本情報技術者試験とは?
基本情報技術者試験(通称FE)は、ITエンジニアとしての登竜門的な資格です。
基本情報技術者試験はITパスポートよりも技術寄りで、プログラミングやアルゴリズムなどの実践的な知識が求められます。
基本情報技術者試験の概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
試験実施日 | 通年 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing) |
試験時間 | 90分(科目A試験) + 100分(科目B試験) |
出題形式 | 科目A試験:多肢選択式(四択) 科目B試験:多肢選択式 |
試験範囲 | 科目A試験: ・基礎理論、アルゴリズムとプログラミング ・コンピュータ構成要素、システム構成要素 ・データベース、ネットワーク、セキュリティ など 科目B試験: ・情報セキュリティ ・データ構造及びアルゴリズム(擬似言語) など |
合格基準 | 各科目6割以上 |
受験料 | 7,500円(税込) |
受験申込方法 | IPA公式サイトより申し込み |
合格率 | 40%前後 |
共通点と違いのざっくり比較
ITパスポートと基本情報技術者試験のそれぞれを比較した表は以下の通りです。
項目 | ITパスポート | 基本情報技術者試験 |
---|---|---|
難易度 | ★☆☆☆☆(易しい) | ★★★☆☆(やや難) |
対象 | IT初心者・非エンジニア | ITエンジニア志望者・初学者 |
出題範囲 | 広く浅い | 技術中心・やや深め |
学習時間の目安 | 約50〜100時間 | 約100〜200時間 |
合格率 | 約50% | 約40% |
試験方式 | CBT | CBT |
ITパスポートと基本情報の4つの違い

ITパスポートと基本情報技術者試験は、どちらも「IT初心者向け」の資格と思われがちですが、実際には大きな違いがあります。
ここでは、受験前に必ず押さえておきたい4つのポイントに絞って詳しく解説します。
- 試験の難易度
- 出題範囲
- 試験形式と時間
- 学習時間の目安
① 試験の難易度
ITパスポートは初心者向け、基本情報は技術職志望者向けです。
ITパスポートは知識レベルを測る基礎力重視の試験である一方、基本情報技術者試験は技術的な理解と応用力が求められます。
ITパスポートでは、「クラウドとは何か?」という定義レベルの問題が多いのに対し、基本情報では「仮想化技術の仕組み」「ネットワークのプロトコル構造」など、より深い理解が必要です。
そのため、まったくの未経験者にはITパスポート、エンジニアを目指すなら基本情報技術者がおすすめです。
② 出題範囲
ITパスポートはIT技術の基礎に加えて、マネジメントや経営などが出題範囲となっています。基本情報技術者試験はIT技術に特化した試験となっている点が特徴です。
例えば、ITパスポートには「バランススコアカード」「ROE(自己資本利益率)」といった経営知識の問題も登場する一方で、基本情報では「スタック」「キュー」などコンピューターサイエンスの基礎的な知識が問われます。
つまり、幅広い知識を浅く問うのがITパスポート、技術に絞って深く問うのが基本情報技術者試験という違いがあります。
③ 試験形式と時間
どちらもCBT方式ですが、試験時間と構成に大きな違いがあります。
ITパスポートは選択式のみで、1つの試験を120分以内で解きます。
基本情報技術者は科目Aと科目Bの2つの試験に分かれており、それぞれの試験時間は科目Aは90分、科目Bは100分となっています。
基本情報の科目B試験では、長文の設問から必要な情報を読み取り、アルゴリズムの挙動やプログラムの動作を正確に把握する必要があります。単なる知識だけでは対応できません。
④ 学習時間の目安
一般的にITパスポートは約50時間から100時間、基本情報は200時間程度が必要な学習時間とされています。
学習範囲の広さと、実践的な理解を要する問題の多さが、学習時間に大きな差を生みます。
ITパスポートであれば通勤中のスマホ学習や週末だけの勉強でも十分合格圏ですが、基本情報ではアルゴリズムの練習や過去問演習が不可欠です。
どちらを受けるべき?おすすめの選び方

「ITパスポートと基本情報技術者、結局どっちを受ければいいの?」
そんな悩みにお答えするために、ここでは目的やスキルレベル別におすすめの選び方を解説します。
IT初心者・文系出身ならITパスポートから
IT初心者や非エンジニアの方は、まずITパスポートからの受験がおすすめです。
ITパスポートは、プログラミングの知識がなくても対応できるよう設計されており、初学者でも取り組みやすい構成です。
文系出身で営業職の方が、転職や社内異動に備えてITパスポートを取得するケースも多く、IT用語の基礎を身につけることで仕事の幅が広がります。
ITの知識に自信がないなら、まずはITパスポートで基礎力を固めましょう。
将来エンジニアとして働きたいなら基本情報技術者
エンジニアとしての就職や転職を目指すなら、基本情報技術者の取得が大きな武器になります。
企業側も、基本情報技術者を「実務に耐えうるIT基礎力の証明」として評価しています。特に開発職やインフラエンジニア職では有利になることが多いです。
筆者自身も大学在学時に基本情報技術者を取得したことで、入社後にITへの適性があると見なされました。
エンジニア志望の方は、基本情報技術者の合格を1つの目標にするのがおすすめです。
社会人・転職希望者が資格を武器にしたい場合
自分のキャリアや目指す方向によって、取得すべき資格が変わります。
IT未経験の社会人がIT業界への転職を目指すなら、ITパスポートがはじめの一歩に最適です。ある程度知識があるなら、基本情報技術者を取得して転職市場での信頼度を高めましょう。
たとえば、営業からITサポート職へのキャリアチェンジを考えている方は、ITパスポート→基本情報技術者という順で段階的にスキルアップしている人が多いです。
自分の現在地と将来像を明確にし、段階的に資格を選びましょう。
ITパスポートと基本情報技術者を両方取得したエンジニアの体験談

ここでは、実際にITパスポートと基本情報技術者の両方を取得した私自身の経験をお伝えします。受験の動機や勉強法、取得後の効果などをリアルにお話しします。
私がITパスポートを取得した理由
大学4年生の頃、まずはITの基礎を固めたくてITパスポートに挑戦しました。
当時はまだIT知識が全くなく、ITエンジニアとして働くことに不安を感じていたため、体系的な知識を身につけたかったのです。
例えば「DRAM」「クラウド」といった言葉の意味を曖昧に理解していたのですが、試験勉強を通じてそれらを整理でき、入社後には比較的スムーズに会話についていけるようになりました。
IT未経験者でも体系的に知識を学べる、ITパスポートは絶好の入門資格です。
次に基本情報技術者を受けた理由
ITパスポートの次は、より実践的なスキルを身につけたくて基本情報技術者にチャレンジしました。
プログラミングやネットワークの基本を体系的に学ぶことで、将来的に開発やインフラ業務でも通用する力をつけたいと思ったからです。
科目B試験(当時は午後試験)のアルゴリズム問題では苦戦しましたが、過去問演習を繰り返すことで考え方が身につき、ITエンジニアとして働く上での土台を作ることができました。
基本情報技術者は、エンジニアとしての基礎スキルを本気で鍛えたい人にこそ価値のある試験です。
両方取得して感じたメリット・デメリット
2つの資格を段階的に取得したことで、スムーズにキャリアをステップアップできました。
ITパスポートで全体像をつかみ、基本情報で技術力を深めたことで、一貫した知識の土台を持てるようになりました。
資格を取ったことで、社内で評価されたり直接的なメリットもありました。一方で、取得後も学び続けなければすぐに知識が古くなるという課題も実感しています。
ITパスポートと基本情報技術者の両方を取得することで、視野の広さと技術力の両方をバランスよく身につけることができます。
効率的な学習法とおすすめ教材

ITパスポートや基本情報技術者の試験に合格するには、正しい学習法と自分に合った教材の選択がカギです。ここでは、具体的な学習法と、おすすめ教材・サービスを紹介します。
独学でも合格できる?
ITパスポートも基本情報技術者も、独学で合格は十分可能です。
近年は参考書・過去問サイト・動画教材などが充実しており、自分のペースで学習しやすい環境が整っています。
筆者はどちらの試験も独学で合格しました。どちらも参考書と問題集、過去問道場を組み合わせて試験対策を行いました。
自分の学習スタイルを把握し、継続できる方法を選べば、独学でも十分戦えます。
おすすめの参考書・問題集
ITパスポート対策におすすめの教材
IT初心者の方や、文字ばかりの参考書が苦手な方にはこの「キタミ式イラストIT塾 ITパスポート」は非常におすすめです。
この書籍は、広範囲にわたるITパスポート試験の用語や概念を、豊富なイラストを用いて丁寧に解説しています。難しい専門用語も、イラストを見ることで直感的に理解できるため、IT知識ゼロの方でもスムーズに学習を進められます。
「ITパスポート パーフェクトラーニング過去問題集」は、とても多くの問題が収録されているのが特徴の問題集です。
丁寧な解説で、不正解の選択肢にも解説があるため、関連用語も効率的に覚えられます。頻出問題や新傾向の問題にはアイコンが付いており、対策がしやすいです。
基本情報技術者対策におすすめの教材
イラストや図解が豊富な「キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者」は、IT初心者や文系出身の人に強くおすすめします。
専門用語が苦手な人でもとっつきやすいのが特徴で、内容はしっかり網羅されており、科目A試験の対策には十分です。
筆者自身も最初の学習ではこのシリーズを活用し、「難しそう」という印象を払拭できました。
「基本情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集」は科目B試験対策において最もコスパが高い過去問演習書。
解説が非常に丁寧で、「なぜその選択肢が正解なのか」が論理的に説明されています。過去問に慣れることは、合格に直結する学習法です。
過去問の量も豊富で、問題傾向や頻出パターンが把握できます。本試験に備えてアウトプット力を高めたい人に最適です。
ITパスポートと基本情報技術者試験の参考書は他にも数多く存在します。
これらの記事でより多くのおすすめ参考書を紹介していますので併せてご覧ください。
まとめ|どちらの資格もキャリアの第一歩になる
ITパスポートと基本情報技術者は、それぞれ役割やレベルが異なるものの、どちらもIT業界への入り口として非常に有効な国家資格です。自分に合った資格を選び、確実にステップアップしていきましょう。
記事の要点まとめ
比較項目 | ITパスポート | 基本情報技術者 |
---|---|---|
難易度 | 易しい | やや難しい |
対象 | IT初心者全般 | エンジニア志望者 |
学習時間 | 約50〜100時間 | 約100〜200時間 |
合格率 | 約50% | 約40% |
内容 | 広く浅いITと経営知識 | 技術中心で深掘り |
資格は「ゴール」ではなく「通過点」です。大切なのは、自分が将来どうなりたいのかを明確にし、そのために今どの資格を取るべきかを逆算することです。
「まずはITリテラシーを身に付けたい」という人はITパスーポートを、「開発職やインフラ職を目指したい」という人は基本情報技術者を目指すのが良いでしょう。
しっかりと目的を持ち、計画的に学習を進めましょう。
未経験からプロのエンジニアを目指すなら
DMM WEBCAMP で確実にスキルアップしませんか?
✅ 現役エンジニア講師が完全サポート
✅ 97%の継続率を誇る独自カリキュラム
✅ 最大70%キャッシュバック対象講座
✅ 転職・副業サポート完全無料
まずは無料相談で、あなたに最適な学習プランを見つけましょう!