「ITパスポートは就職に役立つの?」「取っても意味ないって本当?」
ITパスポートの取得を検討している、またはすでに取得したものの、就職・転職活動でどう評価されるのか不安に感じていませんか?
SNS上では意味ないという声も見られ、本当に時間を投資する価値があるのか疑問に思うことでしょう。
この記事では、現役エンジニアの私が、ITパスポートが就職・転職でどのように評価されるのか、その実態に迫ります。
この記事を読めば、ITパスポートを取得すべきかどうかが明確になり、あなたのキャリア戦略に活かす具体的な方法がわかります。
ITパスポートとは?国家資格が証明するITの基礎知識

ITパスポート試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づく情報処理技術者試験の一区分です。
ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できます。
ITパスポートの概要と試験内容
ITパスポート試験では、ITの基礎知識が幅広く問われます。試験はCBT方式で、年間を通じて随時実施されています。
出題分野は、大きく分けて以下の3つです。
| 出題分野 | 概要 |
|---|---|
| ストラテジ系 | 企業活動、経営戦略、システム戦略などのビジネスや組織運営に関する内容が出題されます。 |
| マネジメント系 | 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなどITプロジェクトの管理に関する内容が問われます。 |
| テクノロジ系 | IT基礎理論、コンピュータシステム、ネットワーク、データベースなどのIT技術全般に関する内容が扱われます。 |
これらの知識は、ITエンジニアだけでなく、事務職、営業職、企画職など、あらゆる職種で役立つ現代のビジネスパーソンに必須の教養と言えるでしょう。
ITパスポートの難易度と合格率
ITパスポートは、数あるIT資格の中でも入門レベルに位置付けられています。合格率は例年50%前後で推移しており、国家資格の中では比較的取得しやすい資格です。
しかし、決して誰でも簡単に合格できるわけではありません。特にITに馴染みのない初学者の場合、幅広い出題範囲をカバーするための体系的な学習が不可欠です。
ITパスポートの難易度や合格率について、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
ITパスポートは就職・転職で「意味ない」と言われる3つの理由

ITパスポートについて調べると、「意味ない」「役に立たない」といった否定的な意見を目にすることがあります。なぜ、国家資格であるにもかかわらず、その価値が疑問視されるのでしょうか。
ここでは、その主な3つの理由を解説します。これらの理由を理解することで、ITパスポートを就職・転職活動でどう活かせば良いかのヒントが見えてきます。
- エンジニアの専門スキルは証明できないから
- 独占業務がない名称独占資格だから
- 誰でも取得しやすい簡単な資格だと思われているから
理由1:エンジニアの専門スキルは証明できないから
ITパスポートは、あくまでITに関する基礎知識を証明する資格です。
プログラミング能力やサーバー構築スキルといった、ITエンジニアに求められる専門的な技術力を直接証明するものではありません。
そのため、すでに高度なスキルを持つ現役エンジニアや、具体的な開発経験をアピールしたい求職者にとっては、ITパスポートだけでは物足りなく感じられることがあります。
「ITパスポートを持っている」ことよりも「何を作れるか」が重視されるエンジニアの世界では、資格の有無が採用の決め手になりにくいのが実情です。
理由2:独占業務がない名称独占資格だから
資格には、その資格がなければ特定の業務を行えない「業務独占資格」(例:医師、弁護士)と、資格がなくても業務を行えますが、有資格者のみがその名称を名乗れる「名称独占資格」があります。
ITパスポートは後者の「名称独占資格」です。
つまり、「ITパスポートを持っていないとIT関連の仕事ができない」というわけではありません。この点が、「取得しても意味がない」と言われる一因になっています。
しかし、名称独占資格であっても、その知識やスキルレベルを客観的に証明する手段として十分に価値があります。
理由3:誰でも取得しやすい簡単な資格だと思われているから
前述のとおり、ITパスポートの合格率は約50%と、国家資格の中では比較的高めです。
このことから、「勉強すれば誰でも取れる簡単な資格」というイメージが先行し、取得しても評価されにくいと考える人がいます。
確かに、IT業界での実務経験が豊富な人や、情報系の学生にとっては、比較的容易に取得できるでしょう。
しかし、文系出身者やIT初学者にとっては、決して簡単な試験ではありません。
むしろ、IT未経験者がこの資格を取得することは、IT分野への学習意欲や適応能力を示すポジティブな材料として評価されることの方が多いのです。
ITパスポートは就職・転職に有利に働く!

「意味ない」と言われる理由がある一方で、結論から言えば、ITパスポートは多くの場面で就職・転職に有利に働きます。特に、IT業界での実務経験がない学生や、これからエンジニアを目指す社会人にとっては、武器となり得ます。
その理由を、新卒と転職、それぞれのケースで見ていきましょう。
新卒の就職活動では「ITへの関心」を示す強力な武器になる
新卒採用、特にポテンシャル採用では、現時点でのスキルよりも入社後の成長可能性や自社への適性が重視されます。
ITパスポートの取得は、数ある業界の中からIT業界を選んだという熱意や、IT分野に対する学習意欲を客観的に示すための絶好のアピール材料になります。
「学生時代にITパスポートを取得しました」と伝えるだけで、採用担当者はあなたに対して「自発的に学習できる人材」「ITへの関心が高い人材」というポジティブな印象を抱くでしょう。
特に、情報系以外の学部の学生が取得している場合、そのアピール効果はさらに高まります。
未経験からITエンジニアを目指す転職活動では「基礎知識の証明」になる
未経験からITエンジニアへの転職を目指す場合、採用担当者が最も懸念するのは「本当にこの人はIT業界でやっていけるのか?」という点です。
ITパスポートは、この懸念を払拭するための「ITに関する最低限の基礎知識と思考力」を証明する手段として有効です。
プログラミングスクールでの学習経験や自作のポートフォリオと組み合わせることで、あなたの評価はさらに高まります。
「基礎知識を土台として、自走して応用スキルも習得できる人材である」ことを示せるからです。
非IT職種でもITリテラシーの高さをアピールできる
ITパスポートが役立つのはIT業界だけではありません。
現代では、あらゆる業界・職種でDXが進んでおり、ITリテラシーはビジネスパーソンにとって必須のスキルとなっています。
例えば、営業職であれば、ITツールを活用した営業手法を提案できます。
企画職やマーケティング職であれば、データ分析に基づいた戦略立案などでその知識を活かせるでしょう。
ITパスポートは、あなたが「ITを理解し、ビジネスに活用できる人材」であることを証明し、他の応募者との差別化を図る上で有利に働きます。
企業・採用担当者はITパスポートをどう評価している?

では、実際の採用現場では、ITパスポートを持つ人材はどのように評価されているのでしょうか。
ここでは、採用担当者の視点から具体的な評価ポイントを解説します。
ポテンシャル採用(新卒・未経験)での評価ポイント
新卒やIT未経験者を採用するポテンシャル採用において、ITパスポートは以下のような点で評価されます。
- 自走力や学習意欲の高さ
- ITに関する最低限の共通言語を持っていること
ITパスポートは、自走力や学習意欲の高さを示すことができます。自ら目標を立てて学習を進められる人材であることの証明になり、入社後の研修やOJTでも、スムーズに知識を吸収してくれるだろうという期待につながります。
また、ITに関する最低限の共通言語を持っていることも重要です。ITの基本的な用語や概念を理解しているため、コミュニケーションが円滑に進み、研修内容の理解が早く、早期の戦力化が見込めます。
採用担当者は、履歴書の資格欄にITパスポートの記載があるだけで、「この応募者はITへの関心が高く、基礎的な素養があるな」とポジティブな第一印象を持つでしょう。
IT企業以外での評価ポイント
IT企業でなくても、ITパスポートは有効なアピール材料となります。
多くの一般企業では、以下のような観点から評価されます。
- DX推進への貢献期待
- 情報セキュリティ意識の高さ
社内の業務効率化や新しいサービスの導入など、DXを推進する上でIT知識は不可欠です。ITパスポートを持つ人材は、IT部門と他部門との橋渡し役として活躍することが期待されます。
また、ITパスポート取得者は情報セキュリティ意識が高いと評価されます。試験に情報セキュリティの内容が含まれているため、個人情報保護やコンプライアンスへの理解もあると見なされます。
全社員にITパスポート取得を推奨する企業も増加
近年、ITリテラシーの向上を目的として、全社員にITパスポートの取得を推奨・義務付けている企業が増えています。
これは、ITがもはや一部の専門部署だけのものではなく、全社的に取り組むべき経営課題であるという認識が広まっていることの表れです。
このような企業では、ITパスポートを持っていることが直接的に選考で有利に働く、あるいは入社後の昇進・昇格の要件となるケースもあります。
自身の志望する企業がITパスポートをどう位置付けているか、事前に調べておくのも良いでしょう。
ITパスポートを就職・転職活動で最大限に活かす方法

ITパスポートの価値を最大限に引き出すためには、ただ資格を持っているだけでは不十分です。
ここでは、採用担当者に「おっ」と思わせる、効果的なアピール方法を4つ紹介します。
- 履歴書の資格欄に正式名称で記載する
- 面接で「なぜ取得したのか」を自分の言葉で語れるようにする
- ポートフォリオや他のスキルと組み合わせる
- 基本情報技術者試験などの上位資格へのステップアップをアピールする
履歴書の資格欄に正式名称で記載する
基本中の基本ですが、履歴書には必ず正式名称で記載しましょう。
「ITパスポート試験 合格」と正確に書くことで、細部まで気を配れる丁寧な人柄を印象付けられます。
取得年月も忘れずに記載してください。
面接で「なぜ取得したのか」を自分の言葉で語れるようにする
面接で「なぜITパスポートを取得したのですか?」と質問されることは少なくありません。
この質問は、あなたの人柄や学習意欲、キャリアプランを測るための絶好の機会です。
単に「ITに興味があったからです」と答えるのではなく、自身の経験や将来の展望と結びつけて語れるように準備しておきましょう。
将来、〇〇の分野で活躍するために、まずはITの基礎知識を体系的に身につける必要があると考え、ITパスポートを取得しました
上記のように具体的なエピソードを交えることで、あなたの言葉に説得力が生まれます。
ポートフォリオや他のスキルと組み合わせる
特にITエンジニアを目指す場合、ITパスポートと他のスキルを組み合わせることで、アピール効果が飛躍的に高まります。
例えば、次のように自作のポートフォリオを見せながら説明できれば、採用担当者はあなたの実践的なスキルと学習能力を高く評価するでしょう。
ITパスポートで学んだデータベースの知識を活かして、このようなWebアプリケーションを作りました
プログラミングスキル、語学力、コミュニケーション能力など、あなた自身の強みとITパスポートを掛け合わせることで、独自の価値をアピールできます。
基本情報技術者試験などの上位資格へのステップアップをアピールする
ITパスポートの学習を通じて、さらに専門的な知識を身につけたいと考えるようになりました。現在は、上位資格である基本情報技術者試験の合格を目指して勉強中です
というように、現状に満足せず、常に学び続ける姿勢をアピールすることも有効です。
これは、あなたの成長意欲や向上心を示す強力なメッセージとなります。
採用担当者は、あなたが入社後も継続的にスキルアップし、会社に貢献してくれる人材であると期待するでしょう。
ITパスポートの取得をおすすめする人・しない人

ここまでITパスポートの価値や活用法について解説してきましたが、すべての人にとって絶対に必要な資格というわけではありません。
自身の状況とキャリアプランに応じて、取得すべきかどうかを判断することが重要です。
おすすめする人
以下のような方には、ITパスポートの取得を強くおすすめします。
- これから就職活動を始める文系の学生
- 未経験からIT業界への転職を考えている人
- 営業職・企画職など非IT職種でキャリアアップしたい人
これから就職活動を始める文系の学生にとって、ITパスポートは、ITへの関心と基礎知識をアピールする武器になります。
IT業界以外を志望する場合でも、ITリテラシーの高さを示し、他者との差別化を狙えるでしょう。
未経験からIT業界への転職を考えている人にとっては、ITの基礎知識があることの客観的な証明となり、学習意欲の高さを示せます。
転職活動における最低限の土台としての役割を果たしてくれます。
また、営業職・企画職など非IT職種でキャリアアップしたい人にとっても有益です。ITの知識を業務に活かすことで、生産性向上や新たな価値創造に貢献でき、DX推進が求められる現代において、市場価値の高い人材になるための一歩となります。
おすすめしない人
一方、以下のような方にとっては、ITパスポート取得の優先度は低いでしょう。
- すでに高度なITスキルを持つ現役エンジニア
- 上位資格を保有している人
すでに高度なITスキルを持つ現役エンジニアの場合は、実務経験やポートフォリオ、より専門的な資格の方が、スキルを効果的にアピールできます。
また、すでに上位資格を持っているのであれば、ITパスポートをあえて取得する必要はありません。
自身のキャリアにとって、ITパスポートがどのような意味を持つのかを冷静に考え、挑戦するかどうかを決めましょう。
ITパスポート試験に合格するためのおすすめ勉強法

ITパスポートの取得を決めたら、次は合格に向けた学習計画を立てましょう。
ここでは、効率的に学習を進めるための代表的な勉強法を3つ紹介します。
参考書を使った学習法
王道かつ着実に知識を身につけられるのが、参考書を使った学習です。
図やイラストが豊富で、初学者にもわかりやすく解説されている参考書を一冊選び、繰り返し読み込みましょう。
一通り読み終えたら、付属の問題集や過去問題でアウトプットを繰り返し、知識の定着を図ります。
自分に合った参考書の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Udemyなどの動画教材を活用した学習法
文章を読むのが苦手な方や、通勤・通学などのスキマ時間を有効活用したい方には、Udemyに代表される動画教材がおすすめです。
専門用語の解説も、講師が噛み砕いて説明してくれるため、直感的に理解しやすいのがメリットです。
視覚と聴覚の両方からインプットすることで、記憶に定着しやすくなります。
以下の記事では、ITパスポート学習におすすめのUdemy講座を紹介しています。
効率的な学習計画の立て方
やみくもに勉強を始めても、挫折の原因になりかねません。
ITパスポートの合格に必要な勉強時間は、一般的に100時間〜150時間程度と言われています。
自身の現在の知識レベルを考慮し、試験日から逆算して無理のない学習計画を立てることが重要です。
具体的な学習方法やスケジュールの立て方については、以下の記事で詳しく解説しています。
独学が不安なら通信講座も検討しよう

「一人で学習を続けるのは自信がない」「最短ルートで効率的に合格したい」
そんな方には、通信講座の利用も有効な選択肢です。
通信講座のメリット・デメリット
通信講座の主なメリットは、専門家が監修したカリキュラムに沿って学習を進められる点です。
合格に必要な知識が体系的にまとめられており、学習計画の管理やモチベーション維持のサポートも受けられます。
一方で、独学に比べて費用がかかる点などがデメリットとして挙げられます。
しかし、時間を効率的に使いたい社会人や、絶対に一度で合格したい学生にとっては、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。
おすすめの通信講座「スタディング ITパスポート試験講座」
数ある通信講座の中でも特におすすめなのがスタディングのITパスポート試験講座です。
スタディングは、スマートフォンやPCさえあれば、いつでもどこでも学習できるオンライン特化型の通信講座です。
忙しい社会人や学生でも、スキマ時間を最大限に活用して学習を進められます。
主な特徴は以下のとおりです。
- 短期合格者の勉強法を再現したビデオ講座
- インプットとアウトプットがスムーズに連携
- AIが最適なタイミングで問題を出題
短期合格者の勉強法を再現したビデオ講座が用意されており、1本あたり5分〜15分程度の短い動画で、要点を凝縮してインプットできます。
インプットとアウトプットがスムーズに連携しており、ビデオ講座の後に対応するスマート問題集が用意されているため、知識の定着が可能です。
さらに、AIがあなたの理解度を分析し、復習に最適なタイミングで問題を出題してくれるため、効率的に弱点を克服できます。
独学に不安を感じる方は、ぜひ一度スタディングの公式サイトをチェックしてみてください。
まとめ
本記事では、ITパスポートが就職・転職に有利に働く理由と、その価値を最大限に活かす方法について解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返ります。
- ITパスポートは「意味ない」と言われることもあるが、それは専門スキルを直接証明するものではないから
- 新卒やIT未経験者にとっては、ITへの関心や学習意欲を示す武器になる
- 企業は、ITパスポート取得者を「自走力がある」「ITの共通言語を持つ」人材として評価する
- 面接で取得理由を語れるようにし、他のスキルと組み合わせることでアピール効果は倍増する
ITパスポートは、あなたのキャリアの可能性を広げるための第一歩です。
特に、これからITの世界に飛び込もうとしている方にとっては、自信を持って次のステップに進むための土台となるでしょう。
この記事が、あなたのキャリア戦略の一助となれば幸いです。





