データベーススペシャリスト試験は、高度情報処理技術者試験の一つであり、データベースに関する専門的な知識が求められます。
本記事では基本情報技術者、応用情報技術者、そしてデータベーススペシャリスト試験の合格経験のある筆者が、データベーススペシャリスト試験に独学で合格するための、おすすめの勉強法や参考書などを紹介します。
- データベーススペシャリスト試験の概要
- 試験合格者がおすすめする勉強方法
- おすすめの参考書
- 試験直前の過ごし方
データベーススペシャリスト試験(DB)とは?
データベーススペシャリスト試験の概要と難易度
データベーススペシャリスト試験(DB)は、情報処理推進機構(IPA)が実施する試験の一つであり、データベースの設計、管理、運用に関する知識を問われます。

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験よりも、より専門的で深い知識が求められる高度資格の一つであり、高度情報処理技術者試験の中でも専門性が高く、難易度が高い試験とされています。
出題範囲と試験形式
試験は午前I・午前II・午後I・午後IIの4つの試験区分に分かれています。
- 午前I:共通問題(情報処理全般)
- 午前II:データベースに特化した知識問題
- 午後I:データベース設計やSQLに関する記述式問題
- 午後II:概要設計や物理設計などの論述問題
各試験区分の構成はこのようになっています。
試験区分 | 試験時間 | 出題形式 | 出題数 | 解答数 |
---|---|---|---|---|
午前Ⅰ | 9:30~10:20(50分) | 多肢選択式(四肢択一) | 30問 | 30問 |
午前Ⅱ | 10:50~11:30(40分) | 多肢選択式(四肢択一) | 25問 | 25問 |
午後Ⅰ | 12:30~14:00(90分) | 記述式 | 3問 | 2問 |
午後Ⅱ | 14:30~16:30(120分) | 記述式 | 2問 | 1問 |
午前Ⅰ試験については、過去2年間で以下の条件を1つでも満たしていれば免除となるため必ず確認しましょう。
- 応用情報技術者試験(AP)に合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
- 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる

筆者は応用情報技術者試験に合格した後にDBを受験したよ!
そのため、いきなり高度試験に挑戦するのは不安という方はまずは応用情報技術者試験から勉強することで効率的な学習をすることができます。
応用情報技術者試験についてはこちらの記事で紹介していますので興味があればご覧ください。
合格率と求められる知識
試験に合格するためには全ての試験区分で60%以上得点する必要があります。
合格率は約15〜20%と低めであり、データベースの設計・管理・運用に関する深い理解が求められます。そのため、しっかりとした学習計画を立てることが非常に重要です。
資格を取得するメリット
データベーススペシャリスト試験に合格すると、以下のようなメリットがあります。
- IT業界での評価が高まり、キャリアアップに有利となる可能性がある
- SQLやデータベース設計の深い知識が身に付く
- 資格手当が支給される企業もある
効率的な勉強法とは?
効率的に試験勉強を進めるには、学習計画を立ててコツコツと積み上げていくことがカギとなります。
学習計画の立て方
計画的な学習が合格のカギを握ります。筆者自身が実践した学習スケジュールは以下となります。
- 4から3ヶ月前基礎知識のインプット
- 2ヶ月前午前試験対策
- 1ヶ月半前午後試験対策
- 試験当日合格!
試験勉強は試験当日の3ヶ月から4ヶ月前くらいから開始すると良いでしょう。
初めは、参考書やUdemyなどのオンライン学習プラットフォームを用いて基礎知識を深めるための学習をして基礎知識を習得することに注力しましょう。
その後はひたすら過去問演習をして試験対策をします。
インプットとアウトプットのバランス
インプット(知識の習得)とアウトプット(問題演習)をバランスよく行うことが重要です。
- インプット:参考書の読み込み、講義動画視聴
- アウトプット:過去問演習、模擬試験
長期記憶に定着させるコツ
資格勉強を通してしっかりと知識を身につけたい方は以下のことを意識すると良いでしょう。
- 間隔を空けて復習する
- 実際に手を動かしてSQLを書いてみる
- 理解した内容を他人に説明する(アウトプット学習)
午前試験・午後試験対策とおすすめの参考書
それぞれの試験区分の対策方法とおすすめの参考書を合わせて紹介します。
事前準備 | 基礎知識をインプットするためにおすすめの参考書
いきなり試験対策を始める前に、事前準備として基礎知識のインプットから始めることをおすすめします。
基礎知識をインプットするためには書籍とUdemyを組み合わせて勉強すると良いでしょう。
筆者がおすすめする参考書およびUdemyのコースは以下になります。
徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書
この参考書は付録が充実しており、解説付きの過去問をダウンロードすることができるため購入することを強くお勧めします。
おうちで学べるデータベースのきほん
この書籍はデータベースについて基礎から学びたい人におすすめの本です。
しっかりと体系的に知識を身につけたい方は購入してみてください。
達人に学ぶDB設計徹底指南書
DB設計についてより深く学びたい方はこちらの書籍を読むと良いでしょう。
ただ、徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書でもDB設計について勉強するため試験勉強という観点では必須ではないです。
【Java – SQL編】未経験者もこれ一本でOK!ゼロから学ぶデータベース基礎講座(豊富な図解/演習問題)
こちらのUdemyのコースでは、ハンズオンでSQLを学習することができます。実際に手を動かすことでより実践的なスキルを身につけることが期待できます。
普段あまりSQLに馴染みのない方はぜひ受講してみてください。
午前Ⅰ試験の勉強方法
午前Ⅰ試験は応用情報技術者試験の午前問題から出題されるため応用情報技術者試験の過去問道場を活用して対策しましょう。

ただし、古い問題は試験傾向が変わっている可能性が高いので過去6年分程度に絞って問題を解くと良いでしょう。
6割得点できれば良いので、午前Ⅰの試験勉強にあまり時間を使いすぎないように注意しましょう。
午前Ⅱ試験の勉強方法
午前Ⅱは午前Ⅰと同様で多肢選択式の問題が出題されます。ただし、出題される問題はデータベースに特化した問題となるので別途対策をする必要があります。
午前Ⅱの対策には、データベーススペシャリスト試験の過去問道場を活用します。

全ての問題を2周することを目標に1日10問から20問程度を2ヶ月間ほど解き続けてください。
まとまった勉強時間を確保できる時は午後試験の対策をしたいので、午前試験の対策は通勤時間などの隙間時間を有効活用することを意識してください。

毎日少しづつ勉強するイメージだよ!
午後試験の勉強法
午後試験の対策がデータベーススペシャリスト試験に合格するための最重要事項です。
午後試験は午前試験に比べて難易度が格段に上がるため、時間内に問題を解く練習をしておかないと試験当日に問題を全て解くことができない可能性があります。
午後試験は過去問を解くことが最大の対策になります。ただ、過去問を解くだけでなく以下のことを徹底的に意識しましょう。
- 間違えた問題の解説を読んで理解する
- 時間を測って問題を解く
- 問題文は印刷する
間違えた問題の解説を読んで理解する
午後試験は午前試験とは異なり、「暗記すれば良い」は通用しません。間違えた問題はしっかりと解説を読んで同じような問題が出た時に解けるようにすることが大切です。
時間を測って問題を解く
午後問題は時間との勝負です。問題数は少ないものの1問のボリュームや難易度が高いので時間を意識して問題を解く練習をしましょう。

「時間があれば解けたのに」ってなるともったいない!
問題文は印刷する
問題用紙は必ず本番と同じサイズで印刷しましょう。
試験本番はB5サイズの冊子形式です。過去問を解くときは同じサイズで問題用紙を印刷して解くことで当日になってバタバタしないように対策できます。
午後Ⅰ試験の勉強方法
午後Ⅰ試験は3問出題される中から2問選択して回答する形式となってます。試験時間は90分なので、45分で1問のペースで問題に回答できる必要があります。
試験対策は、ひたすら過去問を解くだけです。
過去問は徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書の特典としてダウンロードすることができるので、過去5年分の問題をダウンロードして解きましょう。
午後Ⅰ試験は本番でどんな問題が出題されても解けるようになる状態を目指して勉強しましょう。過去5年分 x 3問の計15問を解いて理解を深めれば十分本番で戦える知識はつくはずです。
学習ペースとしては1日1問解くようなペースで進られると良いでしょう。
午後Ⅱの勉強方法
午後Ⅱ試験は2問の設問から1問選択して回答する形式となってます。試験時間は2時間です。
「1問を2時間で解く」と聞くととんでもなく難易度が高そうですが、しっかりと過去問を解いて対策することで本番で通用する力をつけることができます。
午後Ⅱ試験も午後Ⅰ試験と同様に時間を測って過去問を解くことで対策します。ただし、1問で2時間かかるため、仕事のある平日に2時間+解説を確認する時間を確保することは現実的に難しい場合があるでしょう。
平日にまとまった時間を確保するのが難しい場合は休日を使うなどして勉強を進めましょう。
どのくらいの問題数を解けば良いかの目安ですが、午後Ⅰ試験同様に過去5年分解くことを目標としてください。
午後Ⅱ試験は次の2問で構成されることが大きな傾向としてあります。試験対策としてはどちらの問題も解けるようにしておくのがベストですが、どうしても時間がないという方はどちらかに絞って対策をすると良いでしょう。
- 概念設計の問題
- 物理設計を含むその他問題
学習ペースは1週間に2問解くことを目安に進めると良いでしょう。
直前対策と試験当日の注意点
最後に試験1週間前からの過ごし方と試験当日の注意点について紹介します。
試験1週間前からの過ごし方
- これまで解いた午後試験の過去問をもう一度振り返り、苦手分野の問題をもう一度解く
- 午前試験の問題も過去問道場で毎日解く
- 普段通り過ごす
試験直前にやるべきこと
夜遅くまで勉強して体調不良になってしまったら本末転倒なので試験直前でも普段通り過ごすことが大事です。
当日は朝から晩まで試験があるためしっかりと睡眠をとって試験中に集中力切れを起こさないようにしましょう。
- 前日は新しい問題に手を出さず、復習に集中する
- 睡眠時間を確保し、体調を整える
- 必要な持ち物を確認して準備する
まとめ
データベーススペシャリスト試験は難易度が高い試験ですが、この記事で紹介した勉強法を実践すれば合格も十分に可能です。
- 参考書で基礎を理解する
- 過去問を活用し、出題傾向を把握する
- 午前・午後試験の対策をバランスよく行う
- 本番を意識して過去問を解く
試験直前期には焦らず、これまで学んだ内容を整理し、自信を持って試験に臨みましょう。
また、試験当日は時間配分を意識し、分からない問題に時間をかけすぎないことを意識すると良いでしょう。