応用情報技術者試験は、ITエンジニアにとってキャリアアップの大きな武器となる国家資格です。しかし、「独学で合格できるのか?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では基本情報技術者、応用情報技術者、そして高度試験の合格経験のある筆者が、応用情報技術者試験に独学で合格するための勉強法やおすすめの参考書などを紹介します。
- 応用情報技術者試験の概要
- 応用情報技術者試験の独学での勉強方法
- おすすめの参考書
- 試験直前の過ごし方
応用情報技術者試験(AP)とは?
応用情報技術者試験の概要
応用情報技術者試験(AP)は、情報処理技術者試験の一つであり、ITエンジニアやシステム管理者にとって重要な資格です。基本情報技術者試験(FE)の上位資格に位置づけられ、より高度なIT知識と実務能力が求められます。
試験は経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施し、年に2回(春と秋)開催されます。
試験の難易度と合格率
応用情報技術者試験の合格率は例年 20%前後 であり、基本情報技術者試験よりも難易度が高いとされています。合格のためには、計画的な学習と過去問演習が不可欠です。
基本情報技術者試験に比べて試験範囲が広いため、効率的な学習方法を採用しないと時間が不足する可能性があります。
初学者の方やいきなり応用情報技術者試験からチャレンジするのは不安という方は基本情報技術者試験から勉強をすることをおすすめします。
基本情報技術者試験の勉強方法についてはこちらの記事で紹介しています!
資格を取得するメリット
応用情報技術者試験に合格すると、以下のようなメリットがあります。
- IT業界での評価が高まり、キャリアアップに有利
- 情報セキュリティやプロジェクトマネジメントの知識が身につく
- 一部の大学・専門学校で単位認定が受けられる1
- 資格手当が支給される企業もある
- 取得後2年間、高度試験の一部試験が免除になる
独学で合格は可能?
これから応用情報技術者試験に挑戦する方の中にはこのように思う方がいるかもしれません。

独学で合格できるのかな?
結論から伝えると、独学で応用情報技術者試験に合格することは十分可能です。
独学のメリット・デメリット
独学で勉強をすると以下のメリットがあります。
- 学習費用がほぼ参考書代のみで済む
- 自分のペースで勉強できる
- スケジュールを自由に調整できる
一方でデメリットもあるので、特徴を理解して自分に合った方法で勉強をすることが資格合格への近道となるでしょう。
- 疑問点をすぐに解決できない
- 計画的に学習しないと挫折しやすい
- 情報の取捨選択が難しい
独学に向いている人の特徴
筆者の経験では以下のような人は、独学でもしっかりと合格できる可能性が高いと感じています。
- 自己管理ができる
- 計画的に学習を進められる
応用情報技術者試験の試験内容と出題範囲
応用情報技術者試験は午前と午後の2つの試験から構成されます。
午前試験の概要と出題範囲
午前試験は四肢択一のマークシート方式で、基礎的な知識を問われます。
以下のような分野から幅広く出題されます。
- テクノロジ系(アルゴリズム、ネットワーク、データベースなど)
- マネジメント系(プロジェクトマネジメント、システム監査など)
- ストラテジ系(経営戦略、法務など)
- etc…

午前試験は基本情報技術者の試験と似たような問題が出るよ!
午後試験の概要と出題範囲
午後試験は記述式の試験で、論理的な思考力と応用力が求められます。問われる分野は以下のとおりです。
- 情報セキュリティ(必須)
- 経営戦略
- プログラミング
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組み込みシステム開発
- 情報システム開発
- サービスマネジメント
- システム監査
合計で11問出題され、そのうち5問を選択して問題を解く形式となっています。ただ、情報セキュリティは必須問題となっているので自由に選択できるのは10問中4問となります。

筆者はプログラミング、システムアーキテクチャ、データベース、システム監査を選択しました!
勉強スケジュールの立て方
3ヶ月で合格する勉強計画
独学で合格を目指す場合、3ヶ月のスケジュールを立てるのが理想的です。以下のような学習計画を立てましょう。
- 1ヶ月目: 午前試験の基礎知識を学習し、過去問を解く
- 2ヶ月目: 午前試験の苦手分野を克服し、午後試験の記述式対策を開始
- 3ヶ月目: 午前・午後試験の総仕上げと模擬試験を実施
1日あたりの学習時間の目安
効率的に学習するためには、1日の学習時間を決めておくことが重要です。
- 平日: 1〜2時間
- 休日: 2〜3時間
- 試験直前: 集中的に3時間以上
短時間でも継続的に学習することで、知識を定着させることができます。
モチベーションを維持するコツ
独学は途中で挫折しやすいため、モチベーションを維持する工夫が必要です。
- 学習の進捗を記録し、達成感を得る
- 合格後のメリットを意識する
- 勉強仲間やSNSを活用し、励まし合う
- 適度に休憩を取り、リフレッシュする
効率的な独学での勉強方法
効率的に勉強を進めるには過去問演習が非常に重要です。過去問を繰り返し解くことで、出題の傾向を理解し得点力を上げることができます。
筆者が実践して試験に合格した学習ステップは次のようになります。
- Step1書籍を使って試験範囲の学習をする
- Step2午前試験対策
- Step3午後試験対策
- Step4総合対策
書籍を使って試験範囲の学習をする
初めのステップとしてまずは試験範囲の概要を掴むことをおすすめします。
いきなり過去問を解くことはおすすめしません。どういった分野の問題が出題されるかを理解しているのとしていないのとでは、過去問演習時の理解度がかなり変わってくるためです。
試験の全体像を掴むためには書籍を購入して読むことをおすすめします。書籍で勉強することのメリットとしては、Webページより情報が正確で新しい可能性が高いため、正確な知識をつけることができます。
筆者がおすすめする以下の書籍では豊富な図解と各分野の詳細な説明があり、初学者でもしっかりと理解を深めることができます。
午前試験の勉強方法
午前試験の対策には過去問道場というWebサイトを使いましょう。
過去問道場は応用情報技術者試験の過去問からランダムに出題してくれるWebサイトです。1問ずつ解くことができ、解説もしっかりとしているためこれを活用しない手はありません。

1問ずつ解くことができるので通勤・通学時間などの隙間時間を有効活用してコツコツ問題を解いていきましょう。
午後試験の勉強方法
午後試験は難易度が高いのでしっかりと対策をすることが重要です。
午後試験は情報セキュリティを除く10分野から4つ選択して解く必要があります。午後試験を勉強するにあたり、あらかじめどの分野を解くか決めて分野を絞って勉強することで効率的に学習を進めることができます。
また、過去問道場では午後試験の過去問も解くことができ、分野も絞ることができるため分野ごと集中して問題を解くことが可能です。

総合対策
これまで書籍を使った試験範囲全体の学習と、過去問道場を活用した過去問演習の方法を紹介しました。
後は仕上げとして過去問を試験当日と同じスケジュールで何回か解いてみると良いでしょう。こうすることで試験当日のイメージがつきやすくなり、当日になって試験中に集中力が切れてしまうことを対策することができます。
また、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験とは違い、答案用紙に回答を記載する筆記タイプの試験であることも注意が必要です。以下の過去問題集には答案用紙もついているため、この書籍を使い過去問を解くことで本番に備えましょう。
直前対策と試験当日の注意点
最後に試験1週間前からの過ごし方と試験当日の注意点について紹介します。
試験1週間前の総仕上げ
試験1週間前は総復習を行い、苦手分野を重点的に学習する期間です。つぎのことを意識しながら過ごしましょう。
- 過去問を3回以上解き、苦手な問題を洗い出す
- 午後試験の記述式問題を再確認し、模範解答をチェック
- 時間を測って模擬試験を実施し、本番を想定した練習をする
試験前日にやるべきこと
試験前日は、新しいことを学ぶのではなく、これまでの復習と体調管理を優先しましょう。
- 暗記カードやノートを見直し、重要ポイントを最終確認
- 試験会場へのアクセス方法を確認し、早めに就寝する
- 持ち物を確認して準備しておく

試験時間が長いから、睡眠はしっかりとろう!
試験当日の時間配分と戦略
試験当日は、時間配分を意識して行動しましょう。
- 午前試験は、確実に解ける問題から解答し、時間を節約
- 午後試験は、得意な分野を優先して選択し、高得点を狙う
- 見直しの時間を確保し、ケアレスミスを防ぐ
まとめ|独学でも合格は可能!最適な勉強法を実践しよう
応用情報技術者試験は独学でも合格可能な試験です。ポイントを押さえて学習を進めることで、効率的に合格を目指せます。
- 過去問を活用し、出題傾向を把握する
- 午前・午後試験の対策をバランスよく行う
- モチベーションを維持しながら、継続的に学習する
しっかりと準備を行い、試験当日は自信を持って臨みましょう!
また、試験に合格すると2年の間データベーススペシャリスト試験などの高度資格の一部の試験が免除になるため高度資格にもチャレンジしてみるのも良いかもしれません!