「LPICって本当に意味あるの？就職や転職に役立つのかな…」
このような疑問を持つ方は多いです。
Linux技術者認定資格として有名なLPICですが、ネット上では「意味ない」「とるだけ無駄」といった意見も見られ、受験を迷っている人も多いはずです。
この記事では、LPICが「意味ない」と言われる理由を紐解き、どんな人にとって「意味ある資格」になるのか、現役エンジニアの視点から解説します。
この記事を読むことで、あなたがLPICを取得すべきかどうか、自信を持って判断できるようになります。
そもそもLPICとは？
LPICの概要とレベル構成
LPIC（エルピック）とは、非営利団体「LPI（Linux Professional Institute）」が主催する、Linux技術者のスキルを証明する国際的な資格です。LPICはレベル別に以下の3段階に分かれています。
| 区分 | 概要 |
|---|---|
| LPIC-1 | 基本的なLinuxの操作・管理スキルが問われる初級資格 |
| LPIC-2 | より高度なシステム管理やネットワーク設定に関する中級資格 |
| LPIC-3 | 企業システムでの運用設計やセキュリティ管理など、専門分野に特化した上級資格 |
試験形式はすべてCBT（コンピューターによる選択式テスト）で、LPIC-1、LPIC-2は複数の試験に合格する必要があります。
特にLPIC-1は、Linux未経験者やインフラ初学者が最初に目指す資格として人気があります。
LPICと他のLinux資格の違い
Linux資格には、LPIC以外にも次のようなものがあります。
違いをざっくり比較すると以下のようになります。
| 資格名 | 主催団体 | 試験形式 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| LPIC | LPI（国際） | CBT形式の選択問題 | グローバルで通用する汎用的な資格 |
| LinuC | LPI-Japan | CBT形式の選択問題 | 日本企業に特化。日本語でのサポートあり |
| RHCE | Red Hat | 実技試験 | 実践的なスキルを問う高難易度資格 |
企業によって評価の軸は異なりますが、LPICは「ベンダーフリー」であり、どのLinuxディストリビューションにも対応している点が強みです。
「LPICは意味ない」と言われる理由
「LPICは意味がない」と感じている人は少なくありません。実際、ネットの掲示板やSNSでもこのような意見が散見されます。
では、なぜそのように言われてしまうのでしょうか？ここでは主な3つの理由を解説します。
- 業務でLinuxを使わない職場もある
- 実務経験が重視される傾向にある
- 資格を持っていることがスキルの証明になるとは限らない
業務でLinuxを使わない職場もある
Linuxスキルが業務で活かせない場合、資格の効果を実感しにくいでしょう。
LPICはLinuxサーバーの操作や管理に関する知識を問う資格です。しかし、業務内容によってはLinuxをほとんど触らないケースもあります。特にWebフロントエンド開発や、クラウド中心の環境ではLinuxの知識を使う機会が限られていることもあります。
たとえば、JavaScriptやReactを使った開発現場では、サーバー周りはインフラ担当が別にいて、アプリケーション開発者はLinuxに直接触らないこともあります。こういった環境では、LPIC取得による実務上の恩恵は薄いと感じられがちです。
つまり、Linuxを使う職場でなければ、LPICの価値を実感しにくいのが現実です。
実務経験が重視される傾向にある
IT業界では「実務経験 > 資格」という評価軸が根強くあります。
資格で基礎知識を証明することはできても、実際にサーバーを構築・運用した経験のほうが現場では重宝されます。LPICに合格していても「実際にどのくらい運用できるのか？」が問われるため、資格単体では評価されにくいのです。
求人票を見ると「LPIC保有者歓迎」と書かれていても、実際には「Linuxの運用経験○年以上」が必須条件になっているケースが多く、未経験者にとっては資格だけでは突破が難しい場合があります。
LPICはあくまで入口であり、評価されるには実務経験とセットであることが多いのです。
資格を持っていることがスキルの証明になるとは限らない
資格を持っていても、必ずしも市場価値の高い人材と評価されるとは限らないのが現実です。
LPICの試験は基本的に選択問題中心で、実技試験はありません。したがって、丸暗記で合格することも可能であり、知識と実践スキルの間にギャップが生まれやすいのです。
「LPIC-1に合格したのに、実際にLinuxサーバーにSSH接続してログ確認ができない」という状態は珍しくありません。現場ではこうしたギャップが「意味ない」と感じさせる要因になります。
資格は知識の証明にはなるが、「即戦力である証明」にはなりにくいのがLPICの弱点です。
LPICが「意味ある」と評価されるケース
「LPICは意味ない」という声がある一方で、特定の状況やキャリアステージでは非常に有効な資格でもあります。
ここでは、LPICが「意味ある」と評価される具体的なケースを解説します。
Linux未経験者が基礎を学ぶための指針として
未経験者がLinuxの基礎を体系的に学ぶには、LPICは最適な教材です。
Linuxを独学しようとすると、情報が断片的で非効率になりがちです。LPICは出題範囲が明確で、公式教材や学習サイトも充実しており、体系的にLinuxの基本を学べます。
私自身、Linux未経験から学習を始めた際、LPIC-1の範囲に沿ってコマンド操作やファイル管理、ユーザー管理などを習得しました。試験勉強を通じて「実務で使える最低限の知識」が効率よく身につきました。
Linux未経験者やインフラ初学者にとって、LPICはLinux学習のロードマップとして非常に有用です。
インフラ系職種への転職・就職活動でのアピール材料に
インフラエンジニアを目指すなら、LPICは確実にプラス評価されます。
企業は即戦力だけでなく、「学習意欲」や「基礎理解の証明」を重視することも多いため、LPICを持っているとポテンシャルが評価されやすくなります。
実際に転職エージェント経由でインフラ職を目指した若手の中には、「未経験だけどLPICを取っているので面接できる」と評価された事例もあります。
インフラ分野を志すなら、LPICは履歴書に書ける信頼性のある資格です。
クラウド・DevOps領域の基礎として
クラウド時代でもLinuxスキルは土台として求められます。
AWSやGCPなどのクラウドサービスは、その多くがLinuxベースで構成されています。インスタンス作成後のSSH接続、パーミッション設定、ログ調査など、基本操作はすべてLinuxの知識が必要です。
たとえば、AWS EC2の初期設定や、Dockerコンテナ内でのファイル操作、Kubernetes上のトラブルシューティングなど、現場でLinuxの基本操作ができるかどうかは大きな差になります。
LPICで学ぶLinuxの基本知識は、クラウド・DevOps時代にも確実に役立ちます。
現役エンジニアから見たLPICの価値
LPICの価値は、立場や目的によって大きく変わります。ここでは、現役エンジニアとしての私自身の体験や、周囲の事例をもとに、LPICがキャリアや実務でどう評価されているのかをリアルにお伝えします。
筆者の実体験：LPICの取得がキャリアに与えた影響
LPIC-1の取得は、インフラ領域への理解を深める大きなきっかけになりました。
SIer時代、サーバー構築や運用、Dockerfileの実装は他の熟練エンジニアが担当しており、私はアプリ開発が中心でした。しかし、自分でインフラも理解したいという思いからLPIC-1の学習を始めました。結果的に、Linuxの基礎を体系的に学べただけでなく、「DevOps的な視点」での開発ができるようになったのです。
その後、CI/CDパイプラインの構築や、アプリケーションのコンテナ化を行う際に、Linuxコマンドやパーミッション管理の知識が大いに役立ちました。LPICで学んだことは、現場で確実に使える知識として根付いています。
LPICは単なる資格にとどまらず、視野を広げる学びの機会となり、キャリアに良い影響を与えてくれました。
転職活動や実務での資格の評価
転職市場では、LPICの有無が評価の分かれ目になることもあります。
Web系企業に転職した際、インフラ領域に自発的に関心を持ち、勉強していることが面接で好印象につながりました。特に若手エンジニアの場合、「何を学び、なぜそれを選んだか」が重視される傾向にあります。
面接官から「なぜLPICを選んだのか？」「どのように学んだか？」と質問されたとき、自信を持って答えられる経験があると、ポテンシャル評価につながります。また、開発×インフラのハイブリッド人材を求める企業では、LPICがプラスに働く場面も多いです。
資格そのもの以上に、学習の姿勢と知識の活かし方が問われているのです。
「意味がある」かどうかは目的次第
LPICが「意味あるかどうか」は、自分のキャリア目的によって変わります。
たとえば、Linuxを仕事で使うインフラエンジニアを目指すなら、LPICは大いに意味があります。一方で、バックエンドでもクラウドでもLinuxに触れる場面がある以上、アプリケーションエンジニアにとっても学ぶ価値は十分あります。
目的が「転職活動で書ける資格が欲しい」「クラウド環境に強くなりたい」「Linuxに苦手意識があるから基礎から学びたい」などであれば、LPICは非常に合理的な選択肢です。しかし、すでにLinuxを日常的に扱っているベテランにとっては、改めて取得するメリットは薄いかもしれません。
LPICの価値は絶対的なものではなく、自分の学習目的・キャリア戦略に合っているかどうかで判断すべきです。
LPICを取るか迷ったときの判断基準
「LPICは意味ないかも…」と感じる理由の多くは、自分のキャリアや現状と資格の内容が噛み合っていないからです。ここでは、LPICを取るべきかどうかを判断するための3つの視点をご紹介します。
- 自分のキャリアプランに合っているか
- 業務でLinuxを使う可能性があるか
- 他に優先すべき学習内容がないか
自分のキャリアプランに合っているか
キャリアプランにLPICの知識が直結するかを明確にしましょう。
資格取得は目的ではなく手段です。インフラエンジニアやクラウドエンジニア、DevOpsエンジニアを目指すなら、LPICの知識はその基礎になります。逆に、フロントエンド特化や機械学習系など、Linuxとほぼ無縁の分野を目指すなら、他の学習に時間を使った方が合理的です。
たとえば将来的にSREやAWSエンジニアを目指す場合、LPIC-1で得られる知識は、すべての基盤になります。
自分が目指す将来像と、LPICで得られるスキルセットが一致しているかを確認しましょう。
業務でLinuxを使う可能性があるか
今後の業務や開発環境にLinuxが関わってくるかどうかが重要です。
現在の仕事がWindows中心でも、クラウド化が進む中で、Linuxベースのシステムに触れる機会は増えています。Linux操作が必須になる前に基礎を身につけておくことで、スムーズな対応が可能になります。
DockerやKubernetesを扱う現場では、Linuxコマンドを知らないとコンテナ内のデバッグやトラブル対応ができません。逆に、完全にローコード・ノーコードの開発に従事している場合は、優先度が下がるかもしれません。
現在・未来の業務にLinuxが関わるかを基準に、LPICの必要性を見極めましょう。
他に優先すべき学習内容がないか
今の自分にとって「LPICより優先すべき学習」があるかを冷静に判断しましょう。
限られた時間の中で何を学ぶかは、効率的なキャリア構築のカギです。ポートフォリオ作成、開発スキルの向上、他の資格など、より直接的に目的達成につながる学習があるなら、そちらを優先すべきです。
私がWeb系開発に転向した際は、インフラの基礎をLPICで抑えた後、すぐにTerraformやGitHub Actions、AWS資格学習にシフトしました。LPICを「入口」として使い、その後の優先度は下げたのです。
LPICは有効な学習コンテンツですが、目的によっては今じゃないという判断も立派な選択です。
LPICを勉強するならUdemyを活用しよう
LPICを独学で目指す方にとって、効率的に、かつコストを抑えて合格を目指せる学習ツールは欠かせません。そこでおすすめなのが、動画学習プラットフォーム「Udemy」です。ここでは、UdemyがLPIC学習に向いている理由と、おすすめの講座、効果的な勉強法を紹介します。
独学での学習にUdemyが向いている理由
Udemyは、LPIC対策に適した「独学サポートツール」です。
LPICの学習は、書籍だけでは理解しづらい部分もあります。特にLinux操作やコマンドの使い方は、実際に手を動かして学ぶことで理解が深まります。
Udemyの動画講座は、講師の解説を聞きながらコマンドを実行できるため、初心者でも挫折しにくいです。
たとえば、Linux環境の構築やviエディタの操作、ユーザー権限設定などは、動画で「画面を見ながら学ぶ」ことでスムーズに習得できます。また、講座には練習問題や模擬試験が含まれていることが多く、アウトプットにも対応しています。
テキストだけでは難しかったLinux学習を効率化できるのがUdemyの強みです。
おすすめのLPIC対策講座
Udemyには高評価のLinuxの学習ができる講座が複数あり、自分のレベルに合わせて選べます。
私自身も、LPIC-1を受験した際にはUdemyの講座を購入しました。ハンズオンで学習することができたので問題集などでは得られないより具体的なイメージを持つことができました。
また、Udemyでは問題集も購入することができるのも魅力の一つです。
LPIC-1の学習をする場合は、まずLinuxの基礎知識を学べる講座を受講して、その後に問題集に取り組むのがおすすめです。
まとめ
- LPICは「意味ない」と言われがちだが、それは目的や立場によって評価が変わる
- IT未経験者やLinux初心者にとっては、Linuxの基礎を体系的に学べる有効な資格
- 転職市場での評価は限定的だが、インフラ職やクラウド関連職ではアピール材料になることも
- 資格を活かすには、目的に合った学習戦略と情報の取捨選択が重要
- 独学にはUdemyがおすすめ。動画で視覚的に学び、手を動かしながら理解を深めることで、効率よく合格を目指せる
「LPICを取るか悩んでいるけど、まずは試してみたい」という方は、
関連する書籍を購入してみたり、Udemyの講座を活用して、スモールスタートするのがおすすめです。
自分の将来に本当に必要かどうかは、少し学んでみてから判断しても遅くありません。
まずは一歩踏み出して、キャリアの選択肢を広げてみましょう！